こそりと戸を開け廃寺へ 静謐打ちたる闇の中 響く鉦の音鉦五郎 破れ提灯不々落々揺れて 燈に浮かぶは払子守 結跏趺坐の背の姿 経凛々を手元に寄せて 我も俄に禅を組む 木魚達磨は無常の響き 物の怪たる我らにも かかる浄土は在るのかと 浄瑠璃、妙喜、宝浄世界 半眼見詰める東方に 今宵も経は響きたる