オリテキタ ツキ

目の前に降りて来た月が振り向いて
僕に見せた貼り付けたような笑み
月の瞳は深く闇を溶かし込んだ黒真珠
ご自慢の金色の顔に不似合いで
月の微笑が気に入らなくて
全てを見透かされたような気がして
僕は黒真珠を指で付く
一度
二度
三度
四度目は深く月の内部の空気に触れた
幾億年目の異物に
澄み切った空気は澱んでしまい
僕は宇宙の宝を一つ
壊してしまいましたとさ