ソラトブ ダイチ カラ

雲が流れていく
僕はうつ伏せて
流れる雲を見つめている
崩れそうな大理石のベンチは冷たく
暖かく注ぐ太陽をその身に閉じ込めている
動いているのに動かない大地は
水を育み緑が茂る
高く伸びた老木の木陰
僕は一人思いを馳せる
たくさんの人達に囲まれて
幸せそうに笑う僕
でもみんなの顔は同じ顔
僕が知ってる唯一の母の顔
何度季節が巡っても
重力の檻に囲まれた僕は
それを無視する大地に囚われている
母が語ってくれた天使がいるなら
いつか巡り合えるかな
この枯渇に水を与えてくれるかな
でも
話し方も忘れてしまったし

また一つ
雲が流れていく
僕がその雲の切れ間に見るのは憧憬