サイヤ

城へと続く旧い町並み
振り向いた君の目には蒼
色付いた町
響く太鼓と低い掛け声
いつまでも聞こえている
この町に染み付く
僕達のように

背を向けた後流れた涙
惜別の日に君は笑って
拭ってくれた細い指で
まだ乾いていない
夢を消した涙

呟くように口ずさんで
思い出しては溜息吐いて
皆のいるあの場所には
もう居場所なんて無い事を考えずにいた

燈る提灯
揺れる欅が彩った町は何処か物憂げ
終わりの為に歩く行列
その中に僕はいない
小さなビールを二人で分けて
飲みながらもうすぐ終わる町を見る
ふと響いた君の言葉をずっと待っていた

駆け出した町で人に飲まれて
見つけ出したのは僕のいた場所
そこには僕の抜け殻
祈りをこめて前に踏み出し
響く太鼓が祝福のようで
祭りの夜に思い出した
あの日々の事
僕の一部