ムシ
回虫の様な醜い生物が眼前を泳いでいる 目を逸らすことは出来ない 蟲は僕自身の投影 あの線条が分かつ 小麦色の塊一つ一つに 記憶の断片 思考の経路 意識の軌跡 そして生体の変異までも取り込んで 蟲は僕になろうとしている 夥しい触手が蠢く 小麦色の線条生物の身体のまま もう一人の僕になろうとしている 一度大きく痙攣した蟲は 初めて僕の顔を見る 嘔吐を催すような顔に 薄らと僕の面影が重なっている