フルイマチノ ユメ

堤防を切り取った下り坂
半分上ると川が見える
少し曇った空がよく似合う
静かで騒がしい空間に

君と二人で歩いている夢を見た
川べりの午睡の幻
瞬時に霧散する記憶の名残は
少しだけ切ない言葉にできない感情

古い町の夢だったんだ
こんな儚い気持ちは
遠くまで伸びる緑の堤防に
歩くまばらな人影

堤防を切り取った坂の上
文庫を片手に眠りこける
曇った空にかすかな太陽
明るくて暗い空間に

君と眠っている夢を見た
薄紫の夢の中
暫く続く寝起きの感情が
少しだけ名残惜しくてノートを開く

古い町の夢だったんだ
こんな苦しい気持ちは
心地よく歩く川の傍
遠くで散歩する犬の声