ヨゾラ

夜風に誘われ歩いた橋の上
遠くの水面に玩具のようなビル一つ
闇を切り取る雲、三日月
川縁の穢れさえ寂寥に溶け込んで

何かを無くした心と
それを感じさせる風と

変わらぬ日々を抱えていると
幾万人の愚痴を零し
ふわりと流す無常の流れ
瞳に風を当てて

丘から降りる冷たい風と
誰かの小さな生活観
丘の凸凹に燈る灯り
草に座り一人眺める静かな世界

誰かを思う心と
それを感じさせる風と

いつかは伝える淡い想い
那由多に一つの出逢いの果てに
夜風の中の静かな曲が
いつも変わらず響く

溶け逝く全て
風の中
たゆとう綻び
空の間に
静寂が風を生み続け
また静寂に消えていく

片手を挙げて別れを告げる
無限の世界へ吹く風に
瞬き消える今の中
冷たい夜風を刻み