ツキ ノ スプレス

夜中に部屋を抜け出して
丘へ行かなきゃ
約束は三時半
僕らが旅に出る時間

君と僕が手を繋いでいる改札に
月のスプレスが滑り込む
目的地は青い世界
僕らの最初を探そう

静かに広がる天体に
北極星を探しながら
二人持ち寄ったお菓子を分けて
僕の上着を二人で羽織って
月のスプレスは虚空を走る

目が覚めたのは何時だろう
君を起こして
大きくなった青い世界
僕らは窓に目を凝らす

君と僕が手を繋いでいる不思議さ
きっとそうなる筈だった
青い世界が出来た時から
僕らはもう決まっていた

虚空をさまよう天体に
命の息吹を尋ねながら
手が届きそうな青い世界に
もうすぐ、ため息一つの間にも
月のスプレスは滑り込んでいく

青い世界は水と土
振り向くと消えていた
月のスプレス
つまづいたのは赤い金属

遥かに広がる天体に
僕らの家を探しながら
二人で座って昇る太陽を見つめて
僕らは笑って水辺に向かう
初めて触れた水はただ冷たくて