ホシ ノ トレンス

車窓から見えるモノトーン
肩肘付きの私は死の世界を見つめている
死に内包された生の輝きを求めて走るトレンス
次の世界を示すアナウンスが響く

煌々と照らされた一等星に降り立って
トレンスは一日半の眠りに付く
降り立った私を迎えてくれたのは
小さな小さな双子の男の子

明るい笑顔の二人はトポンとハン
両手を握って私を連れ出し向かった先には星の湖
水銀色に反射する湖面に私の顔は無表情
笑顔を無くしたのはいつだっけ

車窓から見える水銀の湖
両膝抱えの私は横目でトポンとハンを探す
詩に投影出来る思いならもうずっと前に
次の世界へ…私は同じ場所なんて嫌だ

延々と続く車内の時間は眠りの中で
スプレスを見送った悪夢の中で
あの日に亡くした大切な
小さな小さな私の男の子

いつしか世界は蒼に染まって
いつしか私はどこかにいる
星のトレンスが走り去っていく
そう、ここが終着駅

明るい笑顔を彷徨い探す
土と水の静かな世界を当ても無く歩き続ける
ふと目をやった深く透き通った蒼の中に
私は小さな小さな笑顔を見つけた

私は笑って水辺に向かう
初めて触れた水はただ冷たくて…