イケル カバネ

壊れた腕で掴んだ虚空は酷い空白で
痺れた脳髄の組織は不可思議を産み続ける
剥れた慕情の底に見えたのが
浅黒い利害だとしても構わない
それを真実と判別する能力は
とうの昔に失われているから
鮮やかな夕陽のような色彩が弾けた頭の中に
潜んでいるのは屍を拒否する少しの自我で
それがまるで生者のように体を機能させている
突然に広がる白がこの狭い世界を蹂躙して
僕自身も蹂躙して
虚空の中に生まれた一際明るい光源がつまり
僕の終わりを示した扉