ユメ ト モウマク ト ウソ

網膜が世界を作り続けている昼下がり
窓の外に降る雪の正確な六角形に見蕩れながら
酒のアルコォルを味覚から除外しながら嗜んでいる
木製の椅子が伝える微かな温もりと
脳内で再現されるヴィオラの響きが先導する
記憶が生み出した嘘へと進み出す

手を引く女性は確か昔遊んだ少女
成長した姿でも笑顔はそのままで
魅了されるよりも早く昔を思う感情に取り込まれ
私も笑う
その顔は昔のままであって欲しいと願いながら

覚醒はいつも儚い
窓に映る姿が補正されていく
一番私が理解しやすい形に
私が知りたいのは私の実像なのに
虚像の私が瞼を落とす
不確かな表情は少しも私の感情を反映しない
私はもっと深く
漆黒の底ほどに
悲しんでいるのに