リンネ ノ キ

儚さを失った僕は真白の花を抱く
虚しく崩れ去る脆く美しい桃色の花弁
それを懐かしく感じる僕は
蒼と朱が混ざり合った楯に吸い込まれながら
溶け出す理性をただ眺め
霞む意識に映る幼い自分

やがて僕は古木の元に
天を突く槍は今にも崩れ落ちそうで
寄生し繁茂した枝枝は幾重にも拡散し
瞬く間にも分岐を繰り返し
瞬く間にも崩れ落ちていく
眺める僕は吸い寄せられるように
一つの枝に向かっていく
そこは暖かな闇の海
僕の意識は完全に途絶える