オドリコ

華を纏った踊り子よ
微かに残る君の面影を探して
涙を隠した舞台の片隅
永久なる美しさの代償に
過去を捨て
未来を捨て
性を捨て
己を捨てて
そして僕をも捨て去って
艶かしく輝く肢体を得る為に
人を捨てた親友よ
永久には来ない邂逅を願って
僕は未だにここに居る
君の中には無い思い出を
一切れのパンを分け合ったあの日々を
全てその舞の奥に閉じ込めて
長い髪が醸す薫香が僕の胸深く突き刺さる
日々消えて行く面影を一つ一つ確かめながら
涙は果てた
いつか僕が老いた時
君が昔のままで枕元に居てくれたなら
もう声は届かない
君の耳には聞こえない
華を纏った親友よ
君の答えを僕はまだ認められない