タイジュ
人々の罪深さに天が泣いたような雨 雫を受ける樹木は見慣れぬ生物に注目する 膝に落ちる水滴は頭上と顔から ただ己に身を任せて眠る様に俯いたそれを 大樹は優しく受け入れて 濡れた樹皮に伝わる温もりが少しずつ消えていく それを止める術を持たない事を悔やみながら せめて全てが正しく終わった時 その命が正しく巡る事が出来るように 彼の元で同じように全てを終えた者達と同じように 少しでも役立てる事を祈り 大樹は一度風と共に身を揺らした