トツゼン ノ アキ
いつからここにいたのか 燃える夏を閉じ込めた紅葉 やがて訪れる冬を待つ冷えた風 膝の動きに合わせて枯草が泣き 付いた掌の下虫が死ぬ いっそこの世界が全部 こんな風に無造作に壊されてしまえばいいのに 無邪気な子供の手で蹂躙される蟻の世界 突然の秋の中 夏の無尽蔵な活力を失って 冬の高潔な知性を望むが故に この季節を人として越えられるのだと 溢れる涙が語る いっそこの秋が全ての 人々の心の底にまで行き渡ればいいのに 無邪気な子供だけが生き残る世界