セカイ ニ セイジャク ヲ
この静けさが世界中に拡がればいいのに 世界は一度も静寂を知らないのだから いつでも風は木々を鳴らし 山は水を海へと運ぶ 鳥は生きるために羽ばたき 獣は生きるためにいななく そして人は生きるために言葉を話すだろう 時折 大地はその身を震わせ山を砕くだろうし 山もまた炎を上げ大地を燃やすだろう 海は時に控えめに 時には大胆に波を生み出す 世界には余りに音が多過ぎる まるで音の氾濫だ 世界に静けさを齎してあげたい そう人の鼓膜を突き破るように 世界の鼓膜を捜す旅に出よう