ヒクク ヒクク ウナル ヨウニ

地の底から聞こえてくる重低音
月が近付いてくる
哀しみが瞳へと昇るまでに神経を響かせている
銅線を電流が走り抜ける
そんな時に発するような音
低く低く唸るような
地が裂け
深い深い地の底まで続く穴に落ちていく妄想
少しの立ち眩み
皆立ち止まり
足元に目をやる
あるものは直接アスファルトに耳を当て
そして何かを悟ったように立ち上がる
それに倣うように一人
また一人
いつのまに増えていた悟り切った顔の群れ
僕もまた倣うべきなのか
無言の強制
僕もまた地に伏せ地に耳を当てる
血がとめどなく血管を駆け巡る
硝子が長すぎる時を掛け溶け落ちる
積み重ねられた本の一番したにあるものが歪んでいく
そんな時に発するような音
低く低く唸るような
音が近くなる
音が迫り来る
音が鼓膜を越える

身体の中から響き出した音
低く低く唸るように