カンジョウ ノ ホウカイ

環状に拡がる都市が
外径から順に崩されて行く
崩壊に包囲されて逃げ場など無く
中心に中心に集まる阿鼻叫喚
真芯に達観した数人
彼等は知者
そして愚者
もうすぐ亡者
ただ空を見上げ
彼等の周りに透明な壁
怒りと哀しみの矛先を弾くだけ
崩壊を防ぐ力は無い
悲嘆し諦観し憤怒する
知者でもなく
愚者でもなく
まだ亡者でもない
人々を虚ろに見つめている
もう目前まで崩壊は近付いている
奥から順に崩れる黒山
虚ろな一人が呟きを漏らす
ごめんなさい
ごめんなさい
感情の無い薄い声色
ごめんなさい
ごめんなさい
続くように唱和をはじめる知者で愚者たち
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさ…