テンキュウギ

君の手を繋いでいられるのはもう少しだけ
この灼熱が肌に安らぎを許す頃
僕はこの手を離さなくちゃ
いつかまた出逢う日のために
やがて飛び立つはずの空に
かもめが一羽
潮の香りに酔っている
わかっている
勝手なのは僕の方
あの日闇を切り裂いた汽車の轟音も遠く
傷跡と共に消えていくのなら
何度でも薄皮を剥がして
君を忘れぬようにと
この手のぬくもりを覚えておこう
この心に吹く風を守っていこう
半球になった太陽を慈しむような白月
まばらに空を彩りだした綺羅星
望むならこの一瞬の全てがこんな空になり
もうすぐ沈んでしまう僕たちを
朝を迎える日まで見守ってくれたなら
今 天球儀の中心にいる僕ら
天は廻転し
また同じ天を繰り返す
僕らは手を離し
笑顔に涙を浮かべて
さよならサ