ハカイシャ ユエ

右に左に擬宝珠を掲げ
歩く現世獣を喰らい
剃髪頭に光を受けて
眩む餓鬼ども後を絶たず
右手の数珠をじゃらりと鳴らし
左手杓杖しゃらりを響き
法衣を引きずり町を征く
道々男女に声をかけ

ああ掌上で
もがき苦しむ人々よ
現世はただの修業道
衆道かけだし破戒僧

地獄のヤマは見てる故
道端地蔵も見てる故
常世の望月無きが故
ただ穏やかに生を成せ
ただ涼やかに生きた果て
ただ安らかに死ねるが故
先など判らぬ本当は
それはそう仏も
きっと…