テンヲ ニギリシ キョダイナ コブシ

天を握りし巨大な拳
隆々逞しき大木の幹より太き腕
その汗腺には小鳥が巣くい
その体毛には齧歯が暮らし
その全容は一日歩み離れど尚見えず
山すら砕くような硬き拳に
何を握り締めているのか
身動ぎ一つしないそれは
果たして生きているのか
存在しない片腕は土の底
この星の核を握り締めてはいないかと
巨大な拳は語らない
拳だから
巨大な拳は動かない
拳なのに
巨大な拳は掴んでいる
それはまるで瓦斯屋敷の猫のよう