シズケサ サンケイ

静けさは悪夢
豪雪の夜明け前
連なる氷柱逆さ松
戯れ達磨も深い微睡み
鼻の人参ポキリと折れる

静けさは甘露
豪雨の残り香立ち込めて
枝垂れる柳に戯夜曼まぶし
草木も恍惚雫に抱かれて
草むら虫たち雨宿り

静けさは寂寥
色彩欠いた追憶の街
微笑む母に抱かれて眠り
頬に感じる父の指先
忘我の心が伸ばした手のひら