ゲッコウ ヒコウ

見下ろす街並み光は朧気
飛行は夢幻で散歩は朝まで
はためく寝間着を夜風が揺らして
広げた両手が星を捕まえる

古めかしい想像 蒼く笑う月
このままいつか届いたのなら

月をめがけ空飛び越えて
明日さえも滅びに変えて
声が涸れて歌えなくても
いつかは響く世界

つまらないはずだと漏れた呟き
目覚めた時にもう朝は待っていて
壊れたような足取り緩く
煙草の香りでまた憂鬱に

晦のこの夜に全てを捨てて
旅に出る例え死んでもいいさ

月を目指した旅のはじめ
鞄の中に一冊の本
名前を付ける定めの彼に
二匹の蛇が微笑んで

月をめがけ旅は続く
この命が壊れるまで
つぶれた喉で歌う声は
夜空の風に聞かせ
月をめがけ空飛び越えて
明日さえも滅びに変えて
遠く遠く伸ばした手が
月を掴む日まで