Mondenkind

数に殺戮されると嘆く子よ
文字に隷属していると叫ぶ子よ
全ての中に彼女は眠る
汝に空いた虚無の孔が
汝の光から彼女を遮っている
その孔を埋めるのは
誰でも無く
何者でも無い
虚無は汝の一部なのだ
汝の心は虚無を
拒絶することも
享受することも
思いのまま
汝の欲するままに
汝のすべき事をなせ
その果てにこそ象牙は見える
塔に眠る彼女の御胸の抱擁を授かり
汝の駿馬の赴くままに
汝の勇魚の泳ぐがままに
汝の鴻鵠の飛翔のままに
想像は世界を築き
創造は汝の業となり
とこしえの世界を手に入れるだろう
数の中にサーガを見
文字の中に世界を組み上げ
ただ月の子の寵愛のままに
ただ月の子の望みのままに
ただ汝の思考のままに