ボク ナド イナカッタカノヨウニ

確かなのは不埒な絵空
真白な炎は空洞の閑居
字幕付きの人生を捜して
歩く坂道曲がりくねって
なんでだろう
雪は暖かみを持っていて
微かな熱が心にしみて
六徳の結晶が躍る空に
異界への旅路を思って
羽ばたくように手を広げ
飛び立つように爪先立ちで
いななくように背筋を伸ばし
目を閉じて目を閉じて
夢想の中へ
沈み込むように思いの中へ
何も聞こえない
何も考えない
自分などない
この澄んだ空気に溶け込むように
この結晶に細胞のすべてを変えて
崩れ落ちよう
ボクなどいなかったかのように
消えてしまおう
永遠の輪廻の中に
儚さはこの世界に残った一つだけの
美しいものなのだから
目を開けた
瞳の中に雪の乱舞
耳を澄ませる
鼓膜を震わせる草の声
旅の終わりは踵を地面に下ろした時に
小さな輪廻
なんどでも生まれ変わる